昨年10月に売却済のバリューゴルフ(3931)ですが、競争優位性のいい事例ですので、紹介しておきます。
これまでのおさらいですが、競争優位性には代表的なものとして以下の5つの要因があります。
- ネットワーク効果
- 無形資産
- コスト優位性
- 乗り換えコスト
- ニッチ市場
※参考記事
2017.12.2 競争優位性
2017.12.9 競争優位性の要因①:ネットワーク効果
2017.12.16 競争優位性の要因②:無形資産
2017.12.23 競争優位性の要因③:コスト優位性
2017.12.30 競争優位性の要因④:乗り換えコスト
2018.1.6 競争優位性の要因⑤:ニッチ市場
バリューゴルフは「ネットワーク効果」による競争優位性を持ちます。
市場分析
バリューゴルフの主力事業はゴルフ場予約サイト「1人予約ランド」の運営です。
Googleで「ゴルフ場 1人プレイ」と検索してみると、1番目に1人予約ランドが、2番目には楽天グループが運営する「楽天GORA」が、3番目にはゴルフダイジェスト・オンライン(3319)が運営する「GDO」が出てきます。
どうやら楽天GORAとGDOが主な競合のようです。
プレイできるコース数を比較すると、楽天GORAが1900、GDOが1900に対し、1人予約ランドが900(2018年1月期末)となっており、やや差を付けられています。
ただ、「プレイの成立しやすさは1人予約ランドが1番」という評判も耳にするので、利用するプレイヤーの数は1人予約ランドが優位なのかもしれません。
いずれにせよ、上位3社の寡占市場と見て良いでしょう。
1人予約ランドの競争優位性の要因はネットワーク効果
さて、1人予約ランドの競争優位性の根拠はネットワーク効果です。
「プレイヤーが集まる→契約するゴルフ場が増える→プレイヤーが集まる」という流れです。
※参考記事
2017.12.9 競争優位性の要因①:ネットワーク効果
「間接的効果」というやつですね。
リンクバルやピクスタと同じです。
ネットワーク効果の特徴として、利用者の増加に伴い加速度的に利便性が増していくため、一旦差が付くと後発が先頭(または先頭集団)に追い付くのが非常に困難です。
ゴルフ場の1人予約市場では上位3社が他を圧倒的に引き離しており、今後も3社による寡占が続く可能性が高いです。
会員数もハイペースで増えており、競争優位性は盤石と見ていいと思います。
1人予約ランドは売上の一部を占めるに過ぎない
したがって、1人予約ランドの競争優位性は疑うべくもありませんが、残念ながら1人予約ランドはバリューゴルフの売上の一部を占めるにすぎません。
2016年1月期の実績では、全社売上約10億円に対し、ASPサービスの売上は約3億円、約3割です。
2017年以降は、ASPサービスの売上は開示されていませんが、買収により売上が増加したため、1人予約ランドの売上比率はさらに下がっている推測されます。
もちろん、ゴルフ用品販売、レッスン、広告、旅行などのゴルフ事業における一連のサービスは1人予約ランドの会員を軸にして提供されるため、顧客獲得競争において多少有利ではありますが、1人予約ランドそのものに比べると、それなりに競争にさらされています。
したがって、1人予約ランドが好調でも、他のサービスがこけて業績が悪化するリスクは常にあるので、その点は注意が必要です。
まとめ
ゴルフ場の1人予約市場では上位3社による寡占が続く可能性が高く、1人予約ランドの競争優位性は盤石と見られます。
ただし、1人予約ランドは売上の一部を占めるに過ぎず、他サービスも1人予約ランドの恩恵は受けるものの、競争優位性は劣るので過信は禁物です。