これまで銘柄選択の基準として、企業の成長性を中心に書いてきました。
今回は、企業の「競争優位性」について書きます。
なぜ競争優位性が重要なのか
成長株投資というのは、利益が増えていくと予想される企業に投資し、利益成長が株価に反映されることを期待する投資手法です。
したがって、まずは成長性に重点を置いて企業を選ぶことが大事です。
そのためには、「ワンパターンな成長戦略」を持つか、事業規模がまだ小さいか、利益率が改善しそうか、という視点が重要であると主張してきました。
参考記事:
2016.12.10 ワンパターンな成長戦略
2016.12.17 小さいことは良いことだ
2017.4.15 利益率が改善する企業を買え
しかし、成長企業というのは同業他社に目を付けられるものです。
ある商品が良く売れていれば、他社もその商品を模倣して利益を得ようとするのが経済の原理です。
よって、多くの成長企業は数年のうちに競合他社の参入により価格競争が起きて、あっという間に利益率が悪化します。
成長性だけを見て投資してはダメなんですね。
では、どうすればいいのか。
他社が簡単には模倣することができない事業を行っている企業に投資すれば良いわけです。
何らかの理由により模倣されにくい商品を提供していれば、業績を伸ばしても他社の追随を許さず、利益率を維持することができます。
このように他社に模倣されにくい「何らかの理由」のことを「競争優位性」と言います。
競争優位性のある企業は、他社との競争に勝つことができたり、そもそも競争が起きにくいような事業構造をしていたりするので、長期に渡って利益率を維持することができます。
したがって、成長株投資、特に長期投資の場合は、競争優位性のある企業を選び出すことが不可欠なのです。
競争優位性のある企業の見分け方
では、競争優位性のある企業はどのように見分ければいいのでしょうか。
実は、競争優位性が生まれる要因というのはある程度パターンが決まっています。
したがって、企業の事業内容をパターンに当てはめて考えることで、競争優位性のある企業とそうでない企業を見分けることができます。
慣れてくると、企業の事業内容をさらっと見ただけで、「ああ、あのパターンね」という具合に判断することができるようになります。
競争優位性を生む要因
では、競争優位性を生む要因とは具体的にどのようなものか。
米国の金融情報サービス会社、モーニングスターが明快な分類をしてくれているので、引用することにします。
モーニングスター社は競争優位性を「エコノミックモート」(economic moat、経済的な堀)と表現しています。
企業を城に例えて、堀が広ければ広いほど、競合企業に攻められにくい、というわけですね。
以下のような特徴を持つ事業がエコノミックモートを持つとされています。
- ネットワーク効果
- 無形資産
- コスト優位性
- 乗り換えコスト
- ニッチ市場
これらの要因について、今後の記事で書いていきたいと思います。