競争優位性の確認①:エムケイシステム(3910)

これまでの記事で、競争優位性には代表的なものとして以下の5つの要因があると書いてきました。

  • ネットワーク効果
  • 無形資産
  • コスト優位性
  • 乗り換えコスト
  • ニッチ市場

※参考記事
2017.12.2 競争優位性
2017.12.9 競争優位性の要因①:ネットワーク効果
2017.12.16 競争優位性の要因②:無形資産
2017.12.23 競争優位性の要因③:コスト優位性
2017.12.30 競争優位性の要因④:乗り換えコスト
2018.1.6 競争優位性の要因⑤:ニッチ市場

今回からは保有銘柄の競争優位性について1つずつチェックしていくことにします。
まずは、エムケイシステム(3910)です。

エムケイシステムは「ニッチ市場」「乗り換えコスト」という2つの競争優位性の要因を兼ね備えています。

市場分析

社労士事務所は全国に25128事務所が存在し(エムケイシステムの2017年3月期決算説明資料より)、社労士事務所向けシステムの市場規模は、エムケイシステムの売上から考えると100億円程度と見られます。
競合として挙げられるのは、セルズ、クリックス、三菱電機ビジネスシステムの3社です。

エムケイシステムはおそらくシェアでは2番目で、2020事務所に導入実績があります。

セルズがトップシェアと見られ、約3000の社労士事務所に導入実績があります(エムケイシステムの2016年9月21日の発表より)。

クリックス、三菱電機システムズの導入実績は不明ですが、それほど多くはなさそうです。

ニッチ市場

社労士向けシステム市場は、競合として挙げられるのが上記の3社くらいで、稀に見る寡占市場となっています。
その理由は市場規模の小ささです。
市場規模が100億円程度しかないので、大手企業の参入はあまりなさそうと考えていいでしょう。
ニッチ市場の典型例です。
三菱電機ビジネスシステムは割と大きめ(従業員数826人(2017年4月現在)、売上143億円(2016年3月期)、同社HPより)ですが、社労士向けはラインナップの1つとして提供しているという感じで主力商品ではなく、同社の規模を考えても今後そんなに力を入れてくることはなさそうです。

そして、エムケイシステムの最大の強みは、4社のうち唯一、クラウド型のシステムを提供しているという点です。
他の3社は全てパッケージ型です。
社労士という業務の特性上、毎年のように法改正対応があることから、社労士事務所にとっては顧客企業のシステムも含めて一括で更新できるクラウド型システムの方が利便性が高いことは間違いありません。

乗り換えコスト

社労士向けシステムという商品の特性上、どんどんデータが蓄積していくため、途中で別のソフトにデータを移すのは相当な労力を要します。
一方で商品の価格はリーズナブルで、例えば「ネットde社労夢」は月額2万円です。

価格とデータ移行の労力を比べると、乗り換えはあまり起きにくいと考えていいでしょう。
つまり、乗り換えコストは非常に高い、ということです。

まとめ

参入の少ないニッチ市場で「クラウド化」という差別化ができており、なおかつ乗り換えコストの高さで顧客の囲い込みに成功しています。
競争優位性はかなり高いと見ていいと思います。

一方で、CuBe事業などの一般企業向けのサービスにも最近力を入れていますが、こちらは乗り換えコストは多少あると思いますが、社労士向けとは異なり市場規模が大きいので、競合は多く、それほどの競争優位性はなさそうです。

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