2月3日にエムケイシステムの2017年3月期第3四半期決算が発表されています。
内容は順調そのものでした。
決算の概要
2017年3月期第1~3四半期累計
売上 | 経常利益 | |
---|---|---|
2017年3Q | 998 | 230 |
2016年3Q | 693 | 213 |
前年比 | +44% | +8% |
※前年同期は単体、今期は連結(非支配持分あり)なので、単純比較はできないことに注意。
2017年3月期第3四半期単独
売上 | 経常利益 | |
---|---|---|
2017年3Q | 459 | 71 |
2016年3Q | 269 | 80 |
前年比 | +71% | -11% |
※前年同期は単体、今期は連結(非支配持分あり)なので、単純比較はできないことに注意
業績予想に対する進捗率
売上 | 経常利益 | |
---|---|---|
2017年3Q | 998 | 230 |
業績予想 | 1569 | 377 |
進捗率 | 64% | 61% |
2016年10月3日付でビジネスネットコーポレーションを子会社化したことに伴い、今四半期から連結決算を開始しているので、単純な対前年比較はできませんが、第1~3四半期の累計で増収増益となり、順調な決算です。
第3四半期単独で減益となっていますが、買収に伴うアドバイサリー費用23百万円があったので、実質的には増益です。
もう少し細かく、セグメント別に見ていきましょう。
従来のエムケイシステムの事業は「社労夢事業」、新たに加わったビジネスネットコーポレーションの事業は「CuBe事業」とセグメント表記されることになりました。
社労夢事業は、前年同期と比較すると、第3四半期までの累計で、売上が+20%、営業利益が+14%、第3四半期単独で売上が+9%、営業利益が+8%となりました。
ASPサービスの売上推移を見る限り、「セミナー開催や紹介を通じて地道に顧客開拓をしていき、契約のストックを積み上げていく」というワンパターンな成長戦略が機能していることがわかります。
第3四半期の積み上げは、前年同期に比べれば少ないですが、これは前年同期にマイナンバー制度開始に伴う特需があった反動であり、ペース的には年率15%程度の成長率を維持しており、申し分ないです。
CuBe事業を評価するのは時期尚早でしょう。とりあえず赤字は出ていないようなのでOKです。
貸借対照表については、買収に伴い現金が減り、のれんが増えていますが、財務は健全性を維持しており、特筆すべきことはありません。
買収は若干割高だったとは思っていますが(実績PER20倍超で買収している。平凡なソフトウェア会社の買収費用としては高い)、まあいいでしょう。
市場の反応
さて、業績のチェックはこの程度で大丈夫なのですが、市場の反応について雑感を。
特に悲観すべき内容ではなかったのですが、決算後、株価は大きく下げました。
何でかな?、と思って、Yahoo!掲示板を覗いてみたら、どうやら業績予想の「未達」を懸念している人が多そうですね。
経常利益の業績予想に対する進捗率は61%で、確かに達成は難しいかもしれませんね。
で、こういうときにどう対処するべきか。
「一旦手放すべきかな?」と思ったアナタは投資には向いていないかもしれません。
市場参加者は、各自が想定している投資期間によって、大雑把に2つに分類されます。
- 短期投資家(投機家):数週間~数か月間(場合によっては数日や数時間)の投資期間で細かく利ザヤを稼いでいく。
- 長期投資家:数年間~数十年間の投資期間を想定し、1つの投資に大きなリターンを求める。
今回の株価下落は、前者の投機家たちの売りによるものと推測します。
彼らの投資期間は短く、今期の決算が未達となる可能性があれば短期的な株価上昇はあまり期待できなさそうなので、サッサと売ります。
一方、私は後者のタイプです。単年の決算が不調だったとしても、「10年後に株価が数倍になってくれたらOK」というスタンスなので、未達うんぬんにはそれほど興味がなく、成長性が保たれている限り保有します(もちろんあまりに割高になれば短期間でも売りますが)。
というわけで、決算を受けて株を売るかどうかはあなたの想定している投資期間によるでしょう。あなたが投機家なら売り、投資家なら継続保有(または株価下落を僥倖として買い増し)です。
注意しなければならないのは、あなたが投資家なのか、投機家なのかをはっきりと自覚する、ということです。
もともと長期間を想定して投資したのに、短期的に株価が下がりそうだから売る、というどっちつかずな行動を繰り返していると必ず資産を失うことになるでしょう。
投資と投機では注力すべきポイントが明らかに違うからです。
投資家が力を注ぐべきは、「数年後の業績がどうなっているか」「株価は割安か」という分析です。
一方、投機家の売買判断の根拠は「今期・今四半期の業績がどうなるか」「他の市場参加者の心理はどうか」「大口の需給動向はどうか」といった要素です。
力を注いでいるポイントが全く異なるので、長期投資家が短期売買をしても、投機家のカモになるだけです。
マラソンランナーが100メートル走で短距離ランナーに挑んでも勝てないのと同じです。鍛えている筋肉が違うのですから。
長期投資家ならば目先の株価や業績に頓着せず、企業の長期的な見通しが明るければOK、という鷹揚なスタンスで望みましょう。
というか、10年後に数倍になることを見込んで投資しているなら途中の株価なんてどうでもいいですよね?