期待リターンを使ったバリュエーション

下記記事の続きです。
2018.9.15 PERは15倍が目安
2018.9.22 個別銘柄のPERがバラバラなのは、(期待)成長率が違うから
2018.9.29 PEGレシオ
2018.10.6 収益シミュレーションによるPEGレシオの検証
2018.10.13 PEGレシオを使ってみたが・・・

前回記事で、PEGレシオはアバウト過ぎて投資判断の根拠として頼りないと述べました。
「PEGレシオに代わる成長株投資のバリュエーション手法はないか?」と考えていた私にヒントをくれた書籍があります。
「億万長者を目指すバフェットの銘柄選択術」という本です。

この本で紹介されている手法は、簡単に言うと「10年後の業績及び株価を予想し、現在の株価から見た期待リターンが年率+15%を上回ればOK」というものです。

私はこの方法を自分なりにアレンジして使っています。
その方法は以下のようなものです。

<期待リターンを使ったバリュエーション>
①5年後の業績を予想
②想定PER15倍として5年後の期待株価を算出
③現在の株価から一株当たりネットキャッシュを引いたNC調整後株価を算出
④NC調整後株価と5年後期待株価をもとに年率の期待リターンを算出
投資判断:期待リターンが15%以上なら購入、0%以下なら売却

リンクバル(6046)を例に、このバリュエーション手法を試してみましょう。

実践:期待リターンを使ったバリュエーション

①5年後の業績を予想

5年後の期待株価を算出するために、まず5年後の業績を予想します。
ここで言う5年後とは直近の通期決算から見て5年後、つまり2022年9月期の業績のことです(したがって実際の期間は約4年後)。
このように予想してみました。

リンクバルの業績予想(2018~2022)
単位:百万円、カッコ内は前年比
売上 経常利益
2018 2,730 (+3%) 700 (+42%)
2019 3,239 (+19%) 954 (+36%)
2020 3,834 (+18%) 1,252 (+31%)
2021 4,515 (+18%) 1,592 (+27%)
2022 5,276 (+17%) 1,973 (+24%)

5年後(2022年9月期)の経常利益は2017年9月期の約4倍、1,973百万円であると予想します。
今回の記事は大まかな流れを示すことが目的なので、予想の過程はまた別の記事で説明します。

②想定PER15倍として5年後の期待株価を算出

次に5年後の期待株価を算出します。
まずは経常利益を当期純利益に直します。
通常は経常利益×(1-実効税率30%)で算出するのですが、リンクバルの場合、留保金課税(同族会社に課せられる税)が高いので、法人税率は37%程度になるでしょう。
したがって、当期純利益は1,973百万円×(1-37%)=1,243百万円
発行済株式数(自己株式を除く)は3,107,791なので、5年後epsは1,243百万円÷3,107,791=399.96
新株予約権がある場合はそれも含めて算出します。リンクバルの場合、業績目標付きの新株予約権はありますが、上記の業績予想では行使条件を満たさないため含めていません。
PERが15倍と想定すると、5年後期待株価は399.96×15=5,999円と予想されます。

③現在の株価から一株当たりネットキャッシュを引いたNC調整後株価を算出

現在の株価から一株当たりネットキャッシュを引いたNC調整後株価を算出します。
ネットキャッシュ(NC)とは現金同等物-有利子負債のことです。
現金同等物とは現金、有価証券、投資有価証券を指します。
有利子負債とは短期借入金、長期借入金、社債を指します。
2018年9月期第3四半期時点でリンクバルの保有する現金同等物は1,321百万円、有利子負債はゼロです。
ただし2018年7月の自社株買いで249百万円の現金を使ったので、これを差し引くと、NCは1,321百万円-249百万円=1,072百万円となります。
一株当たりNC(ネットキャッシュ)は1,072百万円÷3,107,791=345円です。
現在の株価はこの記事を書いている時点で5,300円です。
したがって、NC調整後株価は5,300円-345円=4,955円です。

④NC調整後株価と5年後期待株価をもとに年率の期待リターンを算出

NC調整後株価と期待株価をもとに年率の期待リターンを算出します。
NC調整後株価は4,955円、5年後期待株価は5,999円なので、期待リターンは5,999÷4,955=1.211倍となります。
これを年率換算します。
単純に考えれば1/5乗すれば良いのですが、現在の日付と決算期を考慮し、もっと厳密に行います。
「5年後」は正確には2022年9月末を指すので、現在の日付からすると、1,441日後です(excelで=DATE(2022,9,30)-TODAY()と入力すれば簡単に計算できる)。
したがって、期待リターンを年率換算すると1.211365/1441=1.050倍=+5.0%となります。

投資判断

期待リターンは年率+5.0%となり、購入基準となる年率+15%を大きく下回るので、これから購入するには割高です。
売却基準となる0%よりは高いので、売るには少し早いです。

期待リターンのポイント

今回はかなりマニアックな内容になってしまって申し訳ありません。
しかし、私の投資方針の根幹を成す部分なので、説明する必要があります。

上記の手法を見て色々と疑問が沸いたと思います。

  1. なぜ5年後なのか?
  2. 業績予想はどうやって算出するのか?
  3. 5年後の想定PERはなぜ15倍なのか?
  4. なぜ株価からネットキャッシュを引くのか?
  5. 期待リターンの年率換算を厳密に行う理由は?
  6. 購入基準を15%、売却基準を0%とする理由は?

長くなるので、次回以降の記事で説明していきたいと思います。

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