PEGレシオを使ってみたが・・・

下記記事の続きです。
2018.9.15 PERは15倍が目安
2018.9.22 個別銘柄のPERがバラバラなのは、(期待)成長率が違うから
2018.9.29 PEGレシオ
2018.10.6 収益シミュレーションによるPEGレシオの検証

では、実際にPEGレシオを使って株価を評価してみましょう。
保有銘柄の1つであるリンクバル(6046)のPEGレシオを算出してみることにします。

実際にPEGレシオを計算してみよう

この記事を書いている時点で株価は4665円、会社予想epsは110.95なので、PERは42.0倍です。
次に成長率ですが、PEGレシオの「成長率」とは、今後2,3年のepsの成長率を指します。
大抵の場合、過去の業績推移や会社予想の数字を参考に、今後の成長率を予想することになります。

リンクバルの業績推移(2015~2018)
単位:百万円、カッコ内は前年比
売上 経常利益 当期純利益 eps
2015 1722 (+47%) 264 (+65%) 156 (+36%) 50.35 (+31%)
2016 2144 (+25%) 294 (+10%) 189 (+21%) 58.44 (+16%)
2017 2652 (+24%) 464 (+59%) 313 (+66%) 96.56 (+65%)
2018予 2905 (+10%) 568 (+15%) 352 (+13%) 110.95 (+15%)

会社予想の数字を採用した場合

例えば、会社予想のeps成長率は+15%となっています。
よって、今後2,3年この成長率が持続すると考えれば、PEGレシオは42.0÷15=2.8となり、割高という判断になります。

過去3年間の平均を採用した場合

しかし、過去の推移を見ると、今後15%成長というのは保守的過ぎる気もします。
では、過去の平均をとってみるのはどうでしょうか。
2015年から2018年にかけての3年間のeps成長率は+30%です。

倍率の平均を算出するときは、「幾何平均」をとります。
epsは2015年から2018年にかけて110.95÷50.35=2.20倍になっているので、1年あたりになおすと、2.201/3=1.30倍=+30%と算出できます。

この数字を採用すると、PEGレシオは42.0÷30=1.4となり、適正圏と判断できます。

2019年のPERを採用した場合

しかし、そもそもPER42.0倍という前提自体が一考の余地があるかもしれません。
リンクバルは9月決算で、今は10月なので、もう2019年9月期に入っているのです。
となると、PERは2019年9月期のepsをもとに計算すべきなのかもしれません。
というわけで、2019年9月期のepsを予想してみることにします。

リンクバルの業績推移(2015~2019)
単位:百万円、カッコ内は前年比
売上 経常利益 当期純利益 eps
2015 1722 (+47%) 264 (+65%) 156 (+36%) 50.35 (+31%)
2016 2144 (+25%) 294 (+10%) 189 (+21%) 58.44 (+16%)
2017 2652 (+24%) 464 (+59%) 313 (+66%) 96.56 (+65%)
2018予 2905 (+10%) 568 (+15%) 352 (+13%) 110.95 (+15%)
2019予 3200 (+10%) 1000 (+76%) 620 (+76%) 195.32 (+76%)

緑色の行は私の予想です。
売上は今期と同じ+10%程度の成長としました。
経常利益は2018年9月期3Qで217百万円稼いでいるので、かける4してプラスアルファで1000百万円としました。
当期純利益は法人税率が2018年9月期と同程度として計算しました。

この予想だとepsは195.32円なので、PERは4665÷195.32=23.9倍となります。
成長率は上記と同じように過去3年の平均の+30%を採用してみましょう。
PEGレシオは23.9÷30=0.80となり、割安という判断になります。

PEGレシオは使いづらい

さて、試しにPEGレシオを3通りの方法で算出してみましたが、皆さんはどの数字を信用しますか?
会社予想の成長率を採用した場合のPEGレシオ:2.8倍
過去3年平均を採用した場合のPEGレシオ:1.4倍
2019年のPERを採用した場合のPEGレシオ:0.80倍

PEGレシオは0.8倍から2.8倍まで、大きな開きがあります。

実際にPEGレシオを使ってみるとわかると思いますが、PEGレシオって非常に使いづらいんです。
成長率の数字はどこから持ってくるのか?
PERは実績PERなのか?予想PERなのか?
計算し始めると疑問点が次々に沸いてきます。

どの数字を算出の根拠とするかによって結果が大きく変わってしまうのです。

PEGレシオは指標として少しアバウトすぎるんですよね。
投資判断の根拠として使うにはやや心もとない感じがします。

もちろん成長株投資は将来の業績を拠り所とするスタイルなので、多少のアバウトさは許容せざるを得ませんが、もう少し精度の高い指標が欲しいところです。

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