4月7日にピクスタ(3416)を全部売却しました。
主力事業のPIXTAの成長が鈍化してきており、さらにコロナ禍で業績が悪化すると予想されたためです。
取引の詳細
銘柄 | 株数 | 購入単価 | 売却単価 | 損益 | 損益率 | 購入日 | 売却日 | 年換算 |
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ピクスタ | 300 | 1,424 | 981 | -88,600 | -31% | 2016.12.28
2017.12.27 |
2020.4.7 | -11% |
当時の事業の状況
当時発表されていた最新の決算は2019年12月期通期決算でした。
(百万円) | 2018/12 | 2019/12 | ||||||
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1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | |
PIXTA | 560 | 540 | 552 | 622 | 631 | 602 | 615 | 654 |
前年比 | +10% | +13% | +11% | 16% | +13% | +11% | +11% | +5% |
新規事業 | 14 | 23 | 25 | 53 | 28 | 39 | 41 | 88 |
前年比 | +367% | +156% | +56% | +61% | +100% | +70% | +64% | +66% |
主力事業であるPIXTAの成長率が徐々に下がってきており、fotowaやsnapmartを中心とする新規事業は伸び率としては凄いですが、額としてはまだ少なく、全社の利益に貢献するにはまだまだといった感じです。
ちょっと投資対象としての魅力度が落ちてきたなあ、という印象です。
新規事業の将来性には期待できるものの、5年というスパンで見た場合、果たしてどれくらいの大きさになっているか。
本業の成長鈍化を加味すると、期待リターンは大したことがなく、他の投資対象に資金を向けることを検討していました。
新型コロナウイルスの流行と売却判断
新型コロナウイルスの流行により、広告業界を主な顧客とするピクスタの業績は短期的には厳しい見込みとなりました。
もともと売却を検討していたこともあり、また当時の運用方針の転換で、コロナ禍でも業績を伸ばせるような企業でポートフォリオを組みたいと考えていたので割とすんなり売却を決断しました。
(百万円) | 2020/12 | ||
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1Q | 2Q | 3Q | |
PIXTA | 625 | 586 | 593 |
前年比 | -1% | -3% | -4% |
新規事業 | 41 | 30 | 47 |
前年比 | +46% | -23% | +15% |
2020年に入って業績も悪化しています。
足元の業績を見ると、KPIもやや改善してきており、昨年並みくらいの利益はわりと早く取り戻せそうです。
ただ、そこから先どれくらいの成長していけるか。
5年というスパンで見た場合、PIXTAはピークアウトし、新規事業の成長だけで十分なリターンをもたらしてくれるほどの成長イメージは持てません。
ピクスタへの投資の総括
ピクスタもリンクバルと同様、このブログ開始直後の2016年12月に投資した銘柄で、思い入れがあります。
当時は上場後1年少し経過した頃で、上場直後の過熱感の反動で株価が落ちてきていました。
+30%成長をしているピッカピカの銘柄で、PER41.4倍というかなりの高値で購入していることからも、私がこの銘柄にかなりの成長期待をしていたことがわかります。
※参考記事:2017.1.21 成長性の確認:ピクスタ(3416)
しかし、購入直後に発表された2016年12月期通期決算で、新規事業への先行投資により、大幅減益となることが発表され、その後株価は低迷。
当初、私は新規事業への投資には懐疑的でしたが、その後の経過により思ったより早く黒字化してきそうなことと、本業の成長力も高く先行投資分の費用をすぐにカバーできそうだったので、2017年末に追加投資を行いました。
しかしながら、新規事業は伸びましたが、肝心の本業PIXTAが失速。
結局、かつて誇った10%近い利益率に回帰することができませんでした。
学んだ教訓は2つ。
- 企業の成長性は見通せない。
- 不況耐性は妥協したかも。
企業の成長性は見通せない
ピクスタを購入した2016年末当時、売上は+30%ペースで伸びていました。
当時の私の分析記事でも、海外の同業他社との比較から「稀に見る成長余地の大きさ」と記しています。
ところが、そこからたった3年で主力事業の成長率は一ケタまで落ち込んでしまいました。
この結果を見て、「見通しが甘かったのではないか」と判断するのはナンセンスだと思います。
私は、所詮、企業の成長性を事前に見極めることなど不可能だと思っています。
何社か投資していれば、かならず一定の割合でこうした期待外れの成長に終わる企業は出てきます。
そういう企業を事前に排除しようとするのではなく、確率論的な手法で対処するべきだと思います。
つまりは分散ですね。
何社か投資していれば、期待外れの企業が出てくる一方で、ほんの一部ですが期待を大幅に上回るような成長をしてくれる銘柄があります(リンクバルやアズームがそうだった)。
そのような銘柄が全体のリターンを大きく押し上げ、期待外れ銘柄のマイナスリターンをカバーしてくれるので、全体としてはまずまずのリターンを上げることができます。
なので、ピクスタの成長見通しが楽観的過ぎたとは思いません。
不況耐性は妥協したかも
ただ、不況耐性については妥協した感があります。
ピクスタの成長率はコロナ以前の2019年12月期第4四半期から悪化していますが、単なる成長鈍化というだけでなく、増税後の景況感悪化の影響も受けていたように思います。
不況耐性の低さを考えると、PER44倍という購入価格は高かったし、2017年末の追加購入も強気すぎたかな、と思います。
やはり、不況耐性が低い銘柄というのは「いつ景気が悪化するだろうか」と常に神経を尖らせながら投資を続けなければならないので、長期投資の対象としては難しいものがあります。