下記記事の続きです。
2018.9.15 PERは15倍が目安
2018.9.22 個別銘柄のPERがバラバラなのは、(期待)成長率が違うから
2018.9.29 PEGレシオ
前回記事で示した例題について、もう一度考えてみましょう。
どっちの方が割安ですか?
A社株:PER16倍、成長率20%
B社株:PER12倍、成長率10%
2社の事業内容、財務はだいたい似たようなものとします。
PEGレシオで判断するならば、
A社のPEGレシオは16÷20=0.8で割安、株価はかなり上昇するだろう、
B社のPEGレシオは12÷10=1.2で適正、株価はあまり上昇しないだろう、
ということになります。
・・・う~ん、これだけじゃあピンと来ないですよね。
では、もう少し具体的に計算してみましょう。
2社の現在のeps(一株当たり当期純利益)が100円とします。
A社はPER16倍なので株価1600円、B社はPER12倍なので株価1200円です。
2社の株価が変わらないと仮定すると、PERはどのように推移するでしょうか?
A社(成長率20%) | B社(成長率10%) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
eps | 株価 | PER | eps | 株価 | PER | |
現在 | 100 | 1600 | 16.0 | 100 | 1200 | 12.0 |
1年後 | 120 | 1600 | 13.3 | 110 | 1200 | 10.9 |
2年後 | 144 | 1600 | 11.1 | 121 | 1200 | 9.9 |
3年後 | 173 | 1600 | 9.3 | 133 | 1200 | 9.0 |
4年後 | 207 | 1600 | 7.7 | 146 | 1200 | 8.2 |
5年後 | 249 | 1600 | 6.4 | 161 | 1200 | 7.5 |
一番下の行を見てください。
A社の株価が変わらないと仮定すると、5年後のPERは6.4倍と大幅に割安な水準になります。
もし5年後にA社の株価が適正圏であるPEGレシオ1倍で評価されているならば、PERは20倍程度になるので、株価は3倍くらいになっていることでしょう。
一方、B社の5年後のPERは7.5倍と、あまり変わり映えのしない水準になります。
もし5年後にB社の株価が適正圏であるPEGレシオ1倍で評価されているとしても、株価は良くて数10%のプラス、2倍は難しそうです。
よって、PEGレシオの低いA社の方が有望、という当初と同じ結論が出ます。
これがPEGレシオの意味です。
将来の収益を実際にシミュレーションして見ると、PEGレシオの意味がわかりやすいと思います。