期待リターンのポイント⑤:期待リターンの年率換算を厳密に行う理由は?

「期待リターン」シリーズの続きです。
※参考記事:
2018.10.20 期待リターンを使ったバリュエーション
2018.10.27 期待リターンのポイント①:なぜ5年後なのか?
2018.12.22 期待リターンのポイント②:業績予想はどうやって算出するのか?
2019.1.5 期待リターンのポイント③:5年後の想定PERはなぜ15倍なのか?
2019.1.19 期待リターンのポイント④:なぜ株価からネットキャッシュを引くのか?
2019.1.26 期待リターンのポイント④:なぜ株価からネットキャッシュを引くのか?(補足) 無駄遣い企業を避けよ

期待リターンは5年後の期待株価と現在のNC調整後株価を元に、リターンを年率換算して算出します。
※参考記事:2018.10.20 期待リターンを使ったバリュエーション
その際、単純に1/5乗するのではなく、日付を考慮して厳密に計算します。
その理由は、決算期が何月かによってリターンが大きく異なるからです。

決算期によるリターンの違い

例えば、A社という企業の現在のNC調整後株価が1000円、5年後の期待株価が2000円とします。5年で2倍ということですね。
単純計算すれば、5年間の年率リターンは21/5=+14.9%となります。

しかし、話はそう単純ではありません。
期待株価の「5年後」は具体的には「直近に発表された通期決算期から見て5年後」を指します。
通常、企業が決算を発表するのは期が終わった1~2か月後です。
例えば、A社の決算期が1月なら2019年1月期の通期決算はまだ発表されていないので、直近に発表された決算は2018年1月期です。
したがって、「5年後」は2023年1月期の決算となります。
2023年1月末は現在(2019年2月2日)からすると約4年後です。
「5年後」とは言っているものの、実際の期間は4年になってしまうわけです。
そうすると、年率リターンは21/4=+18.9%と計算した方が近いですね。

+14.9%と+18.9%というのは大きな違いです。
+14.9%なら100万円が5年間で200万円に、10年間なら400万円になります。
+18.9%なら100万円は5年間で238万円に、10年間なら565万円になります。
たった4%の違いと言えど、複利の効果により長期になればなるほど差が開きます。

つまり、年率リターンを算出する際に単純に1/5乗してしまうと、決算期の違いによって結果に大きなブレが生じてしまうのです。

年率リターンは日付を考慮して厳密に計算する

年率リターンの計算を、日付を考慮して厳密に行うことで、決算期による計算結果の違いをなくなすことができます。

上の例で、A社の決算期が1月だとすると、「5年後」の2023年1月期末は現在(2019年2月2日)から見て1459日後です。
EXCELで=DATE(2023,1,31)-TODAY()と入力すれば計算は簡単です。
これを1年、つまり365日に換算するには、365/1459乗すれば良いわけです。
つまり、2365/1459=+18.9%となります。

A社の決算期が7月だったとしましょう。
「5年後」の2023年7月期末は現在(2019年2月2日)から見て1640日後、4年半という半端な数字ですが、厳密に計算すると期待リターンは2365/1640=+16.7%となります。

日付を考慮して厳密に計算すれば、決算期が何月であろうと、年率リターンを正確に計算することが可能になります。

PERも決算期までの期間によって割安さが異なる

決算期まで期間の違いによって結果にブレが生じるのはPERも同様です。
「予想PER20倍」と言っても、次の決算期末まで丸1年近くある予想PER20倍と、既に決算期末を過ぎた予想PER20倍では割安さが大きくことなります。
例えば、20%成長を続けるB社の予想epsが50円で、株価が1000円、つまり予想PER20倍だったとします。

グラフ上のC点は次の決算期末まで丸1年近くある場合です。
この場合は予想PER20倍というのは文字通りに捉えて良いでしょう。
グラフ上のD点は既に決算期を過ぎているが、まだ決算が発表されていない場合です。
この場合は予想PER20倍とは言っても、実際には予想PER16倍のラインに近づいています。
株価は同じ1000円なのに、C点よりD点の方が割安になります。
成長株は時間の経過につれてepsが増加していくので、株価が横ばいだと、どんどん割安になるのです。
「岩の心電図」が良い兆候だと言われるのもこうした意味合いがあります。

成長株の場合、PERは決算期の違いによって割安さが大きく異るというデメリットがあります
こうしたデメリットを回避するためにも、私はPERやPEGレシオより期待リターンの方が優れた指標であると考えます。

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