KPIに注目せよ

企業の決算を見るときに、どこに一番注目していますか?

成長株投資家ならば、当然、業績(売上・利益)が伸びているかどうかにまず目が行くはずです。
しかし、成長企業に投資する際には、KPIに注目することが最も重要です。

KPIとは

KPIとはKey Performance Indicatorの略で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」となります(出典wikipedia)。
ある「目標」を達成する過程で、「順調に進んでいるかどうか」を数値化して評価するための指標のことです。

例えば、「夏休みの間にバイトで10万円稼ぐ」という目標を立てたとします。
時給1000円のバイトをすることにしました。
10万円稼ぐには100時間働けばいい計算です。
夏休みは5週間あるので、1週間に20時間のペースで働けばOKです。
よって、1週間働いてみて、20時間以上働いていれば「順調」、20時間に満たなければ「もっと頑張らなきゃダメ」という風に、目標の達成度を間接的に評価することができます。
つまり、ここでは、「夏休みの間にバイトで10万円稼ぐ」という目標におけるKPIは「1週間で働いた時間」となるわけです。

成長株投資におけるKPI

KPIはビジネス全般で使われる用語ですが、投資においても使うことができます。
成長企業の「目標」はもちろん業績(売上・利益)を伸ばすことですが、そのためには、まず過程を踏まなければなりません。

例えば、小売店であれば、出店を繰り返して、店舗数を増やして行けば売上・利益も比例して増えていきます。
2016.12.10当ブログ記事「ワンパターンな成長戦略」で紹介したセリア(2782)では、店舗数の増加に従って、売上が増えていることがわかります。

セリアの業績推移(2006~2016)

出所:有価証券報告書を元に当方作成

したがって、セリアの場合、KPIは「店舗数」となります。
店舗数が増えていれば、「順調に成長している」と評価できるわけです。

ネット企業の場合、売上を増やして行くには、会員数、PV(ページビュー)数、投稿数などを増やす必要があります。
同じく、2016.12.10当ブログ記事「ワンパターンな成長戦略」で紹介したクックパッド(2193)では、投稿されたレシピ数の増加に従って、売上が増えていることがわかります。

クックパッドの業績推移(2007~2015)

出所:有価証券報告書を元に当方作成

よって、クックパッドの場合、KPIは「レシピ数」となります。

要するに、成長株投資におけるKPIとは、「成長戦略が機能しているかどうかをモニタリングできる指標」のことです。

他にKPIとして使われる指標は、顧客契約数だったり、営業拠点数だったり、業態によって様々です。

また、1つの事業に対してKPIは複数あるのが普通です。
例えば、クックパッドの場合はレシピ数以外にも有料会員数、PV数などがKPIとして挙げられます。

なぜ業績でなくてKPIなのか

「KPIなんて見なくても、業績(売上・利益)を直接見れば順調に成長しているかどうか判断できるじゃないか」と思われるかもしれません。

しかし、企業の業績というのは思った以上にブレやすいものなのです。
企業は四半期ごとに決算を発表しますが、四半期(3ヶ月)程度の期間では、例えば、たまたま天気が悪くて売上が伸び悩んだり、たまたま大口の契約が入るなどして、売上が下振れ、上振れすることが良くあります。
利益の場合は売上よりもさらに振れ幅が激しく、特に売上規模の小さい企業では、ちょっと広告の出稿数を増やしたりするなどして、大幅減益なんてことも良くあります。

つまり、業績だけ見ていても、企業が順調に成長しているかどうか、評価が難しいのです。

その点、KPIは売上・利益よりもブレが少ない、という利点があります。
例えば、店舗数であれば、四半期の間に急激に増えるということはなく、着実に増えていきます。
KPIを見ていれば、売上が振るわなくても、「店舗数が増えているので、『ワンパターンな成長戦略』は機能している。とすると、今年は台風が多かったので、お客さんの入りが悪かったのかな」というように、目先の業績に一喜一憂することなく、客観的な判断ができます。
KPIは売上・利益よりも安定しているので、企業の成長を評価するのに適しているのです。

よって、私は成長企業の決算を見る際には、KPIの推移を最も重視しています。

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