いやあ、ひどい目に合いました。
エムケイシステムが他社ソフトウェアのライセンス費用を追加負担することになり、過去6年もの決算を下方修正し、さらに今期特別損失を計上することとなりました。
下方修正の内容
エムケイシステムはサービスの提供にあたり他社ソフトウェアの使用許諾を受けており、ライセンス契約を締結しています。
しかし、その契約内容について相手方との見解の相違があったようです。
使用ライセンス数について、エムケイシステム側は「実際の利用数」を報告していたのですが、相手方は「すべてのIDの発行数」を報告すべきだと主張しました。
エムケイシステムは相手方の主張を受け入れ、過去の未報告分のライセンス使用料に加え、ペナルティも支払うことになりました。
これに伴い、過去6年に渡る決算を修正することになりました。
損益計算書については、2013年3月期から2018年3月期の営業利益、経常利益、当期純利益を下方修正しています。
経常利益の修正内容のみ載せます(監査前なので数字が変更となる可能性あり)。
修正前 | 修正後 | |
2013年3月期(単独) | 118,050 | 100,714 |
2014年3月期(単独) | 177,972 | 116,201 |
2015年3月期(単独) | 196,688 | 119,724 |
2016年3月期(単独) | 317,286 | 225,669 |
2017年3月期(連結) | 413,900 | 308,600 |
2018年3月期(連結) | 421,117 | 318,004 |
また利益額の修正に伴い、貸借対照表では純資産・総資産額が修正されます。
修正前 | 修正後 | ||
2018年3月期(連結) | 総資産 | 2,029,551 | 2,169,026 |
純資産 | 1,453,272 | 1,136,648 |
所感
とある大手IT企業に勤める私の友人によると、「ライセンス契約内容自体がグレーなことが多く、今回の例も紛らわしい代表例」とのことでした。
まあ、悪気はなかったんだと思います。
間違えちまったのはしゃあない。
問題なのは、こんな形で発覚したことです。
わざとじゃないとはいえ、結果的に投資家を騙すことになったんだから。
投資家は利益額に基づいて投資判断をしているのに、その前提となる利益額が誤ってたのだから、どうしようもない。
社員50名にも満たない中小企業なので、コンプライアンス意識が低いのかもしれませんが、上場企業としての自覚を持ち、再発防止に努めて欲しいです。
さて、投資判断についてです。
今回の件を受けて、「こんな失態をやらかす企業はポートフォリオには入れておけないから、バリュエーションに関わらず、売り」と判断するのもアリだと思います。
ただ、私はあくまで成長戦略とバリュエーションを元に投資判断をする方針です。
「契約のストックを積み上げていく」という成長戦略は今回の件で影響を受けるわけではありません。顧客には関係のない話ですからね。
バリュエーションについては、純資産・利益額が減った分、適正株価を引き下げるべきですね。
これについては、損失の額がどれくらいになるのか、2019年3月期以降の利益額にどれくらいの影響があるのか、で判断が代わってきます。
特別損失の額について会社側から追加発表があるようなので、それを見てから判断したいと思います。
ただ、印象としては実際の企業価値以上に株価が下落しており、株価は以前よりも割安になっているのかな、と思います。
※2018.6.29株価チャートを追加しました。
高値から半分くらいになってますからね。
いくらなんでも企業価値半減ってことはないだろう、と思います。
割安になっているのであれば買い増しという選択肢もありますね。
とりあえず追加発表を待ちましょう。
教訓:分散は大事
今回の株価大暴落を受けて、「高値で売っておけば良かった」というのは無意味な後悔です。
なぜなら、このような事例は、事前に予測することが不可能で、かつ一定確率で起きうるものだからです。
つまり、長年投資を続けていれば、いつか必ず遭遇する類のものです。
だから、こういう事例に遭遇したときに反省すべき点は、「どうすれば暴落を避けられたか」ではなく、「暴落しても資産に致命的なダメージを受けない程度に、十分に分散できていたかどうか」ということです。
息子のポートフォリオの場合、4銘柄に分散しており、エムケイシステムの保有比率は2~3割です。
エムケイシステムが半額になっても1割程度のダメージで済みます。
十分に分散できていますね。
もしこれがエムケイシステム1銘柄に集中投資していれば、ダメージは大きなものになりますし、さらに信用取引なんかしていると、致命的なダメージを受ける可能性があります。
だから、やっぱり分散は大事なんですね。