期待リターンのポイント⑥:購入基準を15%、売却基準を0%とする理由は?

「期待リターン」シリーズの続きです。
※参考記事:
2018.10.20 期待リターンを使ったバリュエーション
2018.10.27 期待リターンのポイント①:なぜ5年後なのか?
2018.12.22 期待リターンのポイント②:業績予想はどうやって算出するのか?
2019.1.5 期待リターンのポイント③:5年後の想定PERはなぜ15倍なのか?
2019.1.19 期待リターンのポイント④:なぜ株価からネットキャッシュを引くのか?
2019.1.26 期待リターンのポイント④:なぜ株価からネットキャッシュを引くのか?(補足) 無駄遣い企業を避けよ
2019.2.2 期待リターンのポイント⑤:期待リターンの年率換算を厳密に行う理由は?

さて、ようやくシリーズ最後の記事です。
最後は期待リターンを使ったバリュエーションにおいて、購入基準を+15%以上、売却基準を0%以下とする理由について説明します。

購入基準は期待リターン+15%以上

まず購入基準を期待リターン+15%以上とする理由についてですが、単純に私が個別銘柄への投資から年率+15%程度のリターンを期待しているからです。

過去の歴史を振り返る限り、株式の長期的な実質リターンは年率+6~8%程度なので、
+15%以上というのはかなり意欲的な目標だとは思いますが、銘柄選択の方法によってはこのリターンは実現可能だと思います。
さんざん時間をかけて銘柄選択をして、+10%程度のリターンでは物足りませんよね。+10%程度のリターンであれば、時間と手間をかけずにインデックスをバイ&ホールドして、本業に専念した方が賢明です。
個別銘柄に投資するなら+10%のリターンでは満足せず、+15%くらいを目指すべきです。

逆に、+20%以上のリターンを求めるのは目標としてやや高すぎると思います。
レバレッジをかけるのでない限り、長期的に+20%のリターンを実現するのは難しいと思います。
また、個別銘柄に関して+20%以上という基準を設けてしまうと、相当に銘柄が絞り込まれてしまいます。
バリュエーションの基準を厳しくしすぎてしまうと、逆に定性分析で妥協してしまう危険性が生じます
したがって、購入基準は現実的な水準の+15%以上が最適だと思います。

売却基準は0%以下

売却基準が0%というのは「もし5年後に、業績予想が達成され、PER15倍という平均的な評価をされていた場合に、現在の株価と変わらない」という意味です。

実はこれはかなり保守的な基準です。
成長株というのは大抵はPER20~40倍というような、市場平均よりも高い評価を受けています。
したがって、期待リターン0%で売却しても、その後に株価は平気で倍になったりします。
このブログでも約1年前にGMOペパボ(3633)を3360円で売却しましたが、現在はその倍近くの6000円程度で取引されています。
成長力が落ちてきたと判断して売却したものの、市場はPER20倍以上の高評価を与えたため、株価は上昇しました。
保守的な売却水準を設けるとしばしばこういうことが起こります。

しかし、もし途中で成長が止まってしまい、5年後の業績予想が達成されなかった場合はどうなるか。
その場合、epsは期待した水準以下となり、さらにPERも平均的な水準の15倍よりも低い評価を受けている可能性が高いです。
epsとPERでダブルパンチを受けてしまうのです。
そうした場合にはリターンは0%どころかマイナスとなる可能性が高いです。期待リターン0%で売却しておけば、こうした事態を避けることができます。
例えば、バリューゴルフ(3931)は1年以上前に2896円で売却しましたが、現在は半額以下の約1000円で取引されています。
当時は成長著しい注目株でしたが、買収した事業が足を引っ張り、株価が下落しています。

つまり、期待リターン0%で売却すると、企業が思った通りに成長すれば利益を取り逃すが、企業が期待外れに終わった場合でも損失を回避することができます。
そんなわけで期待リターン0%という売却水準は、欲張りすぎない適度な水準だと思います。

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