リンクバル(6046)を全部売却

リンクバル(6046)を4月6日に全部売却しました。
売却理由は今後の成長性が見込めず、さらに新型コロナウイルスの流行により業績が悪化すると考えたためです。

取引の詳細

リンクバル(6046)の株価チャート 出所:株探

 銘柄 株数 購入単価 売却単価 損益 損益率 購入日 売却日 年換算
リンクバル 200 252 173 -15,700 -31% 2016.12.29 2020.4.6 -11%

「あんたが売ったそこが底」を体現していますね。
何度も書きますが私は短期の株価の動きは一切読めません。

当時の事業の状況

当時発表されていた最新の決算は2020年9月期第1四半期決算でした。
リンクバルの業績は「自社が主催する街コン」と「他社が主催する街コン」の売上推移を見れば把握できます。

リンクバル(6046)の事業別売上
(百万円) 2018/09 2019/09 2020/09
2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q
自社売上 212 234 251 144 84 75 63 74
前年比 -35% -24% -24% -24% -60% -68% -75% -49%
他社売上 383 427 474 535 515 502 537 474
前年比 +60% +41% +35% +39% +34% +18% +13% -11%

人手がかかり、利益率の低い自社街コンを縮小し、利益率が高い他社街コンを伸ばすという戦略で19-1Qまで絶好調でしたが、2QからKPIに陰りが見え始め、3Qから業績にも陰りが見え始め、20-1Qから他社街コンも前年割れとなってしまいました。

30%成長を続けていた事業が翌年いきなり前年割れになるという現象は珍しいです。
通常は何年かかけて徐々に成長率が下がっていくものです。

当時は何が起こっているのか良くわかりませんが、ネットマーケティング(6175)という銘柄に出会って合点がいきました。
出会い系アプリに客を奪われていたんですね。
出会いを求める若者たちのツールが街コンからアプリに移ってしまった。
まあ考えて見れば当然です。
出会いを求めるなら街コンよりアプリの方が圧倒的に時間的・経済的効率に優れています。

リンクバルの街コンビジネスはコロナ以前からジリ貧状態で、今後もアプリに顧客を奪われ、かつての収益性を取り戻すのは困難、それどころか、どんどん売上を減らして行ってしまうだろうという状況でした。

新型コロナウイルスの流行と売却判断

そこに新型コロナウイルスが最後のとどめを刺します。
街コンという事業形態は最もコロナによる外出自粛の影響を受けやすい類のものなので、今後の事業環境も厳しいだろうと判断し、売却しました。

その後2Q~4Q決算が発表されましたが、赤字に転落しています。

(百万円) 2019/09 2020/09
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
売上 758 673 636 652 603 507 113 204
前年比 +22% +5% -12% -17% -20% -25% -82% -69%
経常利益 261 253 244 270 172 111 -154 -70

今後は4~5月の緊急事態宣言のときのような極端な外出自粛にはならないと思うので、売上はやや回復してくるとは思います。
しかし、コロナ前の水準を取り戻すことは不可能と思われるし、街コンという業界自体が縮小していくという大きな流れは変わりません。
私の投資対象となることはないでしょう。

リンクバルへの投資の総括

リンクバルはこのブログ開始直後に購入した銘柄で、思い入れがあります。
初めて出会ったのは2016年6月頃で、最初は「街コン?怪しいな・・・」と思いながらおっかなびっくり購入したところ、他社街コンが急激に伸び始めました。
長男の口座で購入したのは2017年のジュニアNISA枠が付与された2016年12月末、だいぶ株価が上がった後でどうしようかなと思いましたが、まだまだ割安圏だと判断し、やや比率を抑えて投資しました。

20161231ポートフォリオのグラフ

2016年12月末のポートフォリオ

20161231ポートフォリオ

2016年12月末の保有銘柄一覧

※参考記事:2017.1.1 ポートフォリオ運用報告(2016年12月末)
この後100株→600株に分割され、分割後だと取得単価は252円。

その後、業績は伸びに伸びて、epsはたった2年で2.5倍になりました。

2016.12.29 2018.12.12 倍率
株価 252 1,670 6.6倍
実績eps 9.74 24.22 2.5倍
PER 25.9 69.0 2.7倍

※参考記事:2018.12.15 リンクバル(6046)を一部売却

市場の評価も急上昇し、比率を抑えて投資したにもかかわらず、ポートフォリオ全体のリターンを大きく牽引してくれました。

2018年11月末のポートフォリオ

2018年11月末の保有銘柄一覧
銘柄 株数 購入単価 現在値 評価額 損益率 先月比
MKシステム 400 646 525 210,000 -19% -11%
クックビズ 100 1,580 1,637 163,700 4%
ピクスタ 300 1,424 1,876 562,800 32% 4%
リンクバル 600 252 1,440 864,000 473% 59%
現金 170,405    
合計 1,970,905  

※参考記事:2018.12.1 ポートフォリオ運用報告(2018年11月末)

2018年12月、株価が割高になったと判断して600株中400株を売却しました。

ただ、当時業績はまだ伸び盛りだったので、テンバガーも狙えるかなーと思い、試みに200株を残してみました。
しかし、その後成長鈍化の兆候が見えはじめ、株価は急降下。

リンクバル(6046)の株価チャート 出所:株探

今思えばこのときなぜ100株でなく200株残したのか、たぶん欲をかいたんでしょうね・・・。

リンクバルへの投資から学んだ教訓は以下の2つ。

  • 業績が伸び盛りでも割高になったら売却すべし。
  • インターネットビジネスは陳腐化しやすく、またその速度も急激。

業績が伸び盛りでも割高になったら売却すべし

私は業績が伸びていても割高と判断したら売るという方針です。
「割高」の判断は難しいですが、私は向こう5年間の成長を市場が織り込んだと判断したら売却します。
具体的には、5年後の予想利益に対しPER15倍となる株価まで買い上げられたら売却するようにしています。
リンクバルの場合はこの方針で売却したところ、ちょうど天井を当てることができました。

この売却方針はやや保守的(もし予想通りに5年間成長を続けたらPER15倍などという低評価を受けているはずはない)と言えますが、成長株は一度成長がストップすると予想epsの引き下げと評価(PER)の引き下げが同時に起こるので、株価は暴落します。
したがって、市場の評価が妥当なところまで上がったら、深追いせず売却し、もっと期待リターンの高い投資対象に乗り換えるのが無難だと私は考えます。

インターネットビジネスは陳腐化しやすく、またその速度も急激

街コンはアプリに顧客を奪われました。
このように新たなビジネスモデルの登場によって市場そのものがなくなってしまうことを「ビジネスモデルの陳腐化」などと表現します。
インターネットでは日々新たなビジネスモデルが考え出され、変化が激しいので、陳腐化が起こりやすいです。
さらに、旧来型のビジネスモデル(例えば小売チェーン店)では参入者が進出するのにある程度の時間が必要なので、陳腐化の速度はわりとゆっくりですが、インターネットビジネスは新参者でもすぐに顧客にアクセスできるため、陳腐化の速度は急激です。

リンクバルの成長鈍化はこの典型例ですね。
出会い系というビジネスはただでさえ流行り廃りのペースが早いですからね。

成長株というのはいつかは成長限界を迎えます。
市場が企業の成長性に気づき、その成長をかなり先まで株価に織り込んでしまった場合、そこから先の期待リターンは市場平均を上回らないのではないかと思います。

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