競争優位性シリーズの続きです。
※参考記事
2017.12.2 競争優位性
2017.12.9 競争優位性の要因①:ネットワーク効果
2017.12.16 競争優位性の要因②:無形資産
2017.12.23 競争優位性の要因③:コスト優位性
2017.12.30 競争優位性の要因④:乗り換えコスト
今日は最後の要因、「ニッチ市場」についてです。
ニッチ市場は居心地が良い
ニッチ市場とは、需要がそれほどなく、規模が小さい市場のことです。
少数の企業がニッチ市場を既に支配しており、他社が参入しようにもコストが見合わないような場合、既存企業にとっては非常に競争の少ない環境になります。
wikipediaによれば、以下がニッチ市場の発生要因として挙げられています。
- 商品やサービスを要求する消費者の絶対数が少ない(特定の用途・目的・趣味に特化した需要であるため)。
- 潜在的なニーズのため、誰も「産業」として考えつかなかった分野である。
- 既存の手法では収益性が悪く、市場としての魅力がない。
大きな市場の隙間を縫うような形で存在する「隙間市場」などとも言われます。
大手資本にとっては参入しても得られる利益はわずかなため、わざわざ経営資源を割いて参入してくることは稀です。
よって、既存企業にとっては競争が少なく、居心地の良い状態になりやすいです。
ニッチ市場の例
そもそも市場が小さいことが強みであるため、メジャーな例は出せません。
少々マニアックになってしまいますが、コンビニ決済システム市場の例を挙げます。
コンビニ決済システム市場はウェルネット(2428)と電算システム(3630)の2社による寡占市場になっています。
例えばネットでライブチケットを買い、コンビニで支払ったとします。
チケットの販売ページとコンビニの端末を仲介するシステムを提供しているのは上記2社のうちのどちらかです。
200億円程度の市場規模しかなく、コンビニ各社のシステムと連携させる手間とコストを考えると、大手にとっては参入するうま味がありません。
例えば自前の決済システムを持つAmazonやYahoo!もコンビニ決済はウェルネットに委託しています。
小型成長株には結構多い
ニッチ市場の規模の目安としてはだいたい数十億円~数百億円程度です。
したがって小型成長株ではこうしたニッチ市場に属している企業は結構多いです。
「何でこんなに競合が少ないんだろう?」という企業を見つけたときは、このパターンを当てはめて考えるとすんなり来ることがあるかもしれません。
ただし、上記のコンビニ決済のようにある程度の参入障壁があることが前提条件で、ニッチな市場だからといって何でも競争優位性が高いわけではないということにご注意ください。