前回記事「不況耐性の分析方法①:前回不況時の業績を確認する」に書いたとおり、企業の不況耐性を評価するには前回の不況時の業績を確認するのが一番手っ取り早いのですが、上場後間もない企業の場合はそれができないことがあります。
その場合は、その企業のビジネスが不況に強い特性を持つかどうか、自分の頭で考えて判断する必要があります。
不況に強い特性とは、具体的には①BtoC、②低価格、③買い続けなければならない商品の3つです。
①BtoCの方がBtoBより不況に強い
BtoCとは消費者向けのビジネスのことです。
Bはビジネス(Business)の頭文字、Cは消費者(Consumer)の頭文字です。
反対に、BtoBは企業向けのビジネスのことです。
基本的に、BtoCの方がBtoBより不況に強いです。
企業は不況になると赤字になったりするので、コストを極端に抑えようとします。
そのため、BtoBビジネスは不況に弱いです。
一方、消費者は、不況になってもボーナスを減らされる程度で、企業ほどには極端に打撃を受けたりはしません。
だから、消費者は不況になってもそこそこお金を使ってくれます。
よって、BtoCビジネスはBtoBより不況に強い傾向があります。
もちろんCtoCビジネスも同じ理由で不況に強いです。
これは何となく納得してもらえるんじゃないでしょうか。
以前の記事「業種と不況耐性」で挙げた不況に強い業種を見てみても、食料品、水産・農林、医薬品など、大半がBtoCビジネスに該当します。
②低価格品は不況に強い
これは当たり前ですね。
逆に言えば高価格品は不況に弱いということです。
消費者は不況になってもある程度はお金を使ってくれるとは言え、ボーナスをカットされれば大きな支出は避けるはずです。
例えば、家や車、家電などの高価格なものは買い替えるのを控えるでしょう。
旅行や外食なんかも少し抑え気味になります。
また、同じ種類の商品の中でも、低価格品の方が不況に強いです。
例えば、前回記事「不況耐性の分析方法①:前回不況時の業績を確認する」で紹介した低価格の家具メーカーのニトリはリーマンショックを無傷で乗り切りましたが、
高級家具メーカーの大塚家具は同時期に大打撃を受けています。
③買い続けなければならない商品
いわゆる「ストック型」の商品というのは不況に強いです。
例えば、携帯電話だったり、インターネットの通信料などはボーナスを減らされたからと言って解約はしにくいでしょう。
不況に弱いBtoBビジネスでもストック型だとそこそこ不況に耐えます。
例えば、ビルの管理会社や月額使用のソフトウェアなどはそれほど売上が落ちません。
また、厳密なストック型ではなくても買い続けなければならない商品は存在します。
食品、化粧品、生活必需品、学習塾、タバコなどは不況になっても買い続ける必要がありますよね。
分析を過信するな
こうした定性分析により、ある程度の予測は可能ですが、やはり過去の実績を元にした分析に比べると確実性は数段劣ります。
「不況に強いビジネスだと思ったのに、いざ不況になって見ると弱かった」などということはザラに起こります。
不況耐性の分析は難しいのです。
よって、不況耐性の分析は「それなりに妥当性はあるが、外れることもある」くらいのスタンスで、外れても何とかなるようなリスク管理はしておきましょう(銘柄の分散、レバレッジをかけない、など)。