ハンバーガー屋の財務諸表②:損益計算書編

前回記事「ハンバーガー屋の財務諸表①:貸借対照表編」の続きです。

今回は財務諸表の2つ目、損益計算書について見ていきましょう。

5つの利益

損益計算書は期間ごとにどれだけ儲かったかを示す表です。
「どれだけ儲かったか」とはすなわち「利益」のことを指します。
損益計算書は「利益」を求めるためのツールなのです。

しかし、一口に「利益」と言っても、損益計算書には「利益」と名の付くものが5つ存在します。

  1. 売上総利益
  2. 営業利益
  3. 経常利益
  4. 税引前当期純利益
  5. 当期純利益

これらの関係を図に示すとこうなります。

5つの利益

さて、テキサスバーガーの開業から1年が経ちました。
田中くんの経営は上手く行っているのでしょうか?
「5つの利益」を1つずつ確認しながら、テキサスバーガーの損益計算書を見ていきましょう。

(株)テキサスバーガーの1年目

1. 売上総利益=売上-原価

売上総利益は「粗利益」とも言います。原価とは商品の仕入値のことです。
製造業の場合は、製造に関係する人件費・光熱費・工場・機械の費用なども原価に含まれます。

田中くんの巧みなマーケティングの甲斐あって、テキサスバーガーは初年度から大成功を収め、売上高は5000万円となりました。
一方、食材の仕入れには2000万円かかりました。これが原価となります。
売上総利益は売上5000万円-原価2000万円=3000万円です。
損益計算書は以下のとおりとなります。

<損益計算書(単位:万円)>

売上高 5000
売上原価 2000
売上総利益 3000

2. 営業利益=売上総利益-販売管理費

販売管理費は正式には「販売費及び一般管理費」と言い、商売を続ける上で必要な経費のことです。
家賃、人件費、水道光熱費、通信費、広告宣伝費などが該当します。
営業利益は売上総利益から販売管理費を引いて算出するので、営業利益は本業で稼いだ利益を表します。

テキサスバーガーは、初年度で、以下の費用にお金を使いました。

  • 家賃:20万円/月×12ヶ月=240万円
  • 田中くんの役員報酬:360万円
  • 従業員3人分の給与・福利厚生費:300万円×3人=900万円
  • 消耗品費:100万円
  • 水道光熱費及び通信費:200万円

また、忘れてはならないのが「減価償却費」です。
開業時点の貸借対照表を見ると、資産として「建物及び構築物」に1000万円、「備品」に600万円計上されています。

<開業時の貸借対照表(単位:万円)>

資産の部 負債の部
現金 100 借入金 1000
原材料及び貯蔵品 100
建物及び構築物 1000 純資産の部
備品 600 資本金 1000
敷金 200
資産合計 2000 負債純資産合計 2000

これらは既にお金を支出しているのですが、何年間も使えるので、一旦資産に計上し、毎年少しずつ「減価償却費」として費用に計上していきます。
資産の種類によって、耐用年数(何年かけて費用に計上していくか)が細かく定められているのですが、ここでは計算を簡単にするため、「建物及び構築物」を10年、備品を6年とします。
そうすると、減価償却費は以下のとおりになります。
減価償却費(建物及び構築物):1000万円÷10年=100万円
減価償却費(備品):600万円÷6年=100万円
減価償却費合計:100万円+100万円=200万円

なお、減価償却の計算方法には、このように毎年均等に償却していく「定額法」と、毎年同じ割合を償却していく「定率法」の2種類があります。
例えば、1000万円を10年で償却していくと、償却額はこうなります(単位:万円)。

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目
定額法 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100
定率法 200 160 128 102 82 66 66 66 66 66

定率法の方が初期の償却額が大きく、節税効果が高くなります。
どちらの方式をとるかは選択が可能で、一般的に法人は定率法を選択します(ただし、建物は定額法しか選択できない)。

以上を踏まえると、損益計算書は以下のようになります。

<損益計算書(単位:万円)>

売上高 5000
売上原価 2000
売上総利益 3000
販売費及び一般管理費
賃借料 240
役員報酬 360
従業員給与及び福利厚生費 900
消耗品費 100
水道光熱費及び通信費 200
減価償却費 200
販売費及び一般管理費合計 2000
営業利益 1000

販売管理費は合計で2000万円となったため、営業利益は売上総利益3000万円ー販売管理費2000万円=1000万円となりました。

3. 経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

営業外収益は本業以外の日常的な活動で稼いだ利益のことで、余剰資金を運用して得た利息・配当などが該当します。
営業外費用は本業以外の日常的な活動で生じた費用のことで、借入金の支払利息などが該当します。
つまり、経常利益は本業と本業以外を合わせた日常的な活動で稼いだ利益を表します。

テキサスバーガーの営業外収益はなく、営業外費用は、銀行からの借入があるため支払利息が30万円でした。
経常利益は営業利益1000万円ー営業外費用30万円=970万円です。
損益計算書は以下のようになります。

<損益計算書(単位:万円)>

売上高 5000
売上原価 2000
売上総利益 3000
販売費及び一般管理費
賃借料 240
役員報酬 360
従業員給与及び福利厚生費 900
消耗品費 100
水道光熱費及び通信費 200
減価償却費 200
販売費及び一般管理費合計 2000
営業利益 1000
営業外費用
支払利息 30
営業外費用合計 30
経常利益 970

4. 税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失

特別利益は臨時的に生じた利益のことで株や不動産の売却益などが該当します。
特別損失は臨時的に生じた損失のことで株や不動産の売却損、災害や盗難による損失などが該当します。

テキサスバーガーの特別利益はなく、特別損失は、8月の台風で床上浸水したため食材や内装の一部がダメになり、170万円の被害が出ました。
税引前当期純利益は経常利益970万円-特別損失170万円=800万円でした。
損益計算書は以下のようになります。

<損益計算書(単位:万円)>

売上高 5000
売上原価 2000
売上総利益 3000
販売費及び一般管理費
賃借料 240
役員報酬 360
従業員給与及び福利厚生費 900
消耗品費 100
水道光熱費及び通信費 200
減価償却費 200
販売費及び一般管理費合計 2000
営業利益 1000
営業外費用
支払利息 30
営業外費用合計 30
経常利益 970
特別損失
災害損失 170
特別損失合計 170
税引前当期純利益 800

5. 当期純利益=税引前当期純利益-法人税等

当期純利益はもろもろの費用や税金を払った後の、現実に会社に残った利益を表します。
法人税率は約30%なので、テキサスバーガーの法人税は税引前当期純利益800万円×30%=240万円となります。

2017年3月期決算以降の法人税率は29.97%なので、「30%」と覚えておけば大丈夫です。
※参考:デロイトトーマツ「法人実効税率の引下げ、外形標準課税の拡大等について
ただし、資本金1億円以下の中小企業は税率33.80%なので、(株)テキサスバーガーの税率は本来は33.80%となるのですが、計算を簡便にするため30%としています。
なお、近年の傾向として、法人実効税率は年々引き下げられており、今後も政策によって変動することが予想されるので、毎年チェックしましょう。

当期純利益は税引前当期純利益800万円-法人税240万円=560万円となります。
損益計算書は以下のようになります。

<損益計算書(単位:万円)>

売上高 5000
売上原価 2000
売上総利益 3000
販売費及び一般管理費
賃借料 240
役員報酬 360
従業員給与及び福利厚生費 900
消耗品費 100
水道光熱費及び通信費 200
減価償却費 200
販売費及び一般管理費合計 2000
営業利益 1000
営業外費用
支払利息 30
営業外費用合計 30
経常利益 970
特別損失
災害損失 170
特別損失合計 170
税引前当期純利益 800
法人税 240
当期純利益 560

まとめ

損益計算書は会社の儲けである「利益」を求めるためのツールです。
要するに、「収入から支出を引いて残った金額が利益」というだけのことですので、家計の収支を把握する感覚に近く、減価償却費など一部の特殊なルールさえ覚えれば、貸借対照表より理解しやすいのではないでしょうか。

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