投資は原理的に儲かる仕組み

私が周囲の人と話して感じる印象ですが、日本人は「投資」に対して「どうせ損するから手は出さない方がいい」というような否定的な意見を持つ人が多いように感じます。

しかし、投資は原理的に儲かる仕組みなので、長期的な期待収益率はプラスになります。
※期待収益率については前回記事を参照。

期待収益率がプラスということはつまり、投資は平均的には儲かるのです。

ギャンブルと投資の違い

投資がなぜ儲かるのか、ギャンブルとの比較で説明します。

ギャンブルとは「金銭や品物などを賭けて勝負を争う遊戯のこと」(出典wikipedia)で、宝くじ、競馬、競輪、競艇、オートレース、パチンコ、パチスロ、ブラックジャック、ポーカー、ルーレットなどが挙げられます。

一方、投資とは「利益を得る目的で、資金を証券・事業などに投下すること」(出典yahoo!辞書)で、株、不動産、債券、預金などが挙げられます。

どちらも「結果が運に左右され、得する人もいれば損する人もいる」という点では、同じようなものに見えますが、両者には決定的に異なるところがあります。

それは、ギャンブルの期待収益率はマイナスだが、投資はの期待収益率はプラスである、という点です。

ギャンブルの仕組み

ギャンブル概念図

ギャンブル概念図

ギャンブルの場合、参加者は一定の金額を賭け、運営者(胴元)が利用料を差し引き、残った金額から、遊戯の勝敗に応じて参加者に賞金を再分配します(赤い矢印)。
運営者は、宝くじや競馬であれば国、ブラックジャックやルーレットであればカジノ、パチンコであればパチンコ屋です。運営者は営利目的でやっているので、参加者に賞金を与えつつも、自分たちの取り分(利用料)は必ず確保します。

基本的に当事者間で完結する閉じた世界の出来事であり、賭場の外の世界には何ら影響を及ぼさず、参加者以外からお金が入ってくることはありません。
つまり、参加者によって損得は異なるものの、閉じた世界の中でお金を奪い合っているだけなので、運営者が利用料を徴収する分だけ、参加者全体の収益の合計はマイナスになります
したがって、参加者一人当たりの平均収益率、すなわち期待収益率はマイナスになります

ギャンブルの期待収益率は以下のとおりです。

  • 宝くじ:-53.2%
  • 競馬:-25%
  • パチンコ:-2~3%

※パチンコは1日あたり。プレイ時間によって期待収益率は異なる。
出典 谷岡一郎「確率・統計であばくギャンブルのからくり」

例えば、100万円を持って、パチンコを100日間打った場合の期待値は以下のとおりです(期待収益率は-2%とします)。

100万円×(98%)100=13万2619円

100万円で宝くじを買って、当たった賞金を再投資する、ということを100回繰り返した場合の期待値は以下のとおりです。

100万円×(46.8%)100=1.06×10-27

実際には数回で賞金がゼロ円となり、宝くじを100回買える可能性は極めて低いでしょう。
宝くじのあまりの暴利ぶりに唖然としますね。パチンコが良心的に見えてきます。「宝くじは愚か者に課せられた税金」と言われる所以です。

もちろん、回数が少なければ、ギャンブルで運よく利益を出すことはできますが、期待収益率がマイナスのゲームで、運だけで継続的に利益を出すことはほぼ不可能です(大数の法則を思い出してください)。

また、中には、何らかの優位性を発揮して利益を出すことができる人もいます(私の友人にもスロットの台の設定を読んで、数年間で1000万円稼いだ奴がいます)。
しかし、そのような優位性を持たない普通のプレイヤーは継続的にギャンブルをやればまず損をするということです。

投資の仕組み

投資概念図

投資概念図

参加者(つまり投資家)は市場で相互に投資対象(株、債券、不動産など)を売り買いします(①の赤い矢印)。
一方で、投資対象は現実社会で日々価値を提供し、その対価として顧客からお金を受け取っています。
株であれば、投資先の企業は、顧客(消費者や取引先の企業、自治体など)に商品やサービスを提供し、その対価として売上を得ています。
不動産(賃貸マンション、賃貸オフィス、倉庫、駐車場など)であれば、顧客に一定期間、空間を貸し出し、その対価として賃料を得ています。

つまり、参加者間によって損得は異なるものの、市場の外の世界からのお金の流入(②の赤い矢印)があるため、長期的には、市場全体の収益の合計はプラスになります
したがって、参加者一人当たりの平均収益率、すなわち期待収益率はプラスになります

過去の収益率が将来の収益率を保証するわけではありませんが、1900~2006年における各国の株式の収益率(年率、インフレ調整後)は以下のとおりです。

  • 米国:6.7%
  • 英国:5.7%
  • 日本:4.5%

出典 ジェレミー・シーゲル「株式投資 第4版」 p18)

投資対象を集中していたり、投資期間が短かったりすれば、損をする人もいますが、投資は平均的には儲かるのです。
もちろん、「平均的に儲かる」ことと「儲かる人が多い」は同義ではありません。少数の勝ち組と多数の負け組がいても、平均したらプラスになることもあります(日本株に投資する個人投資家の場合、実際そんな感じだと思います)。
しかし、十分に分散し、期間を長く取る、という常識的なやり方をすれば、何ら優位性を持たない普通の参加者でもまず儲けられるのが投資なのです(ただ平均を取りに行くだけなら、インデックス投資という手段もある)。

まとめ

投資とは、本質的に社会に価値を提供する行為であり、その対価を受け取るのは投資家です。

「投資は原理的に儲かる仕組みであり、期待収益率はプラスである」「試行を繰り返すほど、結果は期待値に近づく」という、当たり前のことが理解できれば、「分散を心がけて投資を継続すれば、長期的には利益を出せるだろう」ということがわかるはずです。

投資はイチかバチかの勝負ではありません。
ギャンブルと異なり、他の参加者に対して何の優位性を持たない平均的な参加者でも利益を出せるのが投資です。

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